個展 画家 堀澤大吉 ~ノスタルジックな世界展2024~【個展終了】
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220.月の旅人/古代月の谷
¥240,000
月はこの谷で生まれ、またここへと帰る。この谷は月の谷と呼ばれ、太古の昔よりその営みを繰り返している。だが、誰一人その瞬間を見た者はいない。月は生まれて空へ昇る時、殻を残してゆく。谷に無数に点在する巨大な球体は、月の脱け殻だといわれる。古いものは風化し、砂となり、この谷の砂漠をつくった。風の音以外、物音一つ無い不思議な所である。僕は月の脱け殻を眺め、ここで生まれ、そして死にゆく月の営みに想いを馳せ、時折砂を巻き上げながら吹き抜ける風の中に佇んでいる。
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219.月の旅人/永遠のぬくもり-D
¥180,000
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217.月の旅人/永遠のぬくもり-B
¥180,000
移ろいの季節に吹く風が、確かな時を刻む。私のはるか昔のぬくもりの記憶を思い、抱きしめるこの子に、私のぬくもりを手渡す。そして私も、小さなぬくもりを記憶する。風は、私を通り抜け、夜空へと昇り、繰り返される季節の中で、いつかこの子が大人になった時、私のぬくもりを思い出すのだろうか?命から命へ伝えられてゆく、ぬくもりの記憶。こんな事を考えながら、私は腕の中のこの小さな愛情物質を慈しむように、もう一度抱きしめる。
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215.月の旅人/千の星・千の想い
¥180,000
友だちと久しぶりにこの丘にやって来た。今年芽吹いた若くしなやかな草を、風が波のように揺らせ、通り過ぎてゆく。僕たちはその中に寝そべると夜空を見て息をのんだ。しばらく二人とも話もせずに星空を見ていた。まるで巨大な星のドームの中にいるみたいだ。どちらともなくポツリポツリと、いつにない変な会話が始まる。僕たちは互いの想いをなぜか素直に話してる。人が胸の中に秘めた想いはたくさんあるのだろう。今夜の星の数と同じように…揺れる草の中でそんな僕たちを笑うようにランプの炎が揺れた。
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213.月の旅人/水晶谷午後8時4分
¥180,000
友だちが教えてくれた時間どうりに向かいの山に月が顔を出した。月が出る前には山の後ろが明るくなり、山が濃いシルエットとなり、そして、月が眩しいくらいの片鱗を見せる。僕はこの一瞬がとても好きだ。月はどんどん高さを増し、僕達のいる水晶テラスの水晶は、月光を受けてあちらこちらでキラキラ輝き始める。こんな月待ちの時間とこの風景を見るために、この谷にやって来る。それから月の光で浄化された、透き通った水晶を探し出す楽しい時を過ごすのだ。
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210.月の旅人/月の実
¥180,000
すっかり葉を落とした蒼く煙る夜の林のあちこちで、何かがポーっと光っている。月の実だ。殻斗からはずれなかった実だけが一夜のあいだ光続ける。光を失えばどこにでもあるただの木の実に見えるのだが…落ちたばかりの光のそばに踞る影が2つ、月の実を観察しにやって来た近所の子供だ。一人の子供は虫眼鏡を忘れたらしく、もう一人の子が貸してくれるのを待っている。虫眼鏡の子は何やら説明をしているが、一向に虫眼鏡を貸してくれる気配がない。そのうち、もう一人の子は月の実を観察している子を見ている方が面白くなったのか、月の実の観察者を観察しはじめた。なかなか楽しい光景である。月の光が白々と射し込む林で、時折風が地上の枯れ葉をカラカラと鳴らす。またどこかで実の落ちる音が微かに聞こえた。
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205.月の旅人/星夜に捕えし物
¥120,000
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204.月の旅人/博物学者の夢(化石海岸)
¥120,000
風雨に晒され、むき出しになった地層が延々と続く、月夜の海岸。月明かりとランプの灯りを頼りに、化石や様々な色の鉱物を探す。学者が目を輝かせ、時が経つのも忘れ歩き回り、掘り続けている夢をアガシやキュビエ達も見たのだろうか?掘った後に土と水と枯れ木をかぶせ、鉄鉱石の再生を促進させる夢を見たのだろうか?時の美しい連続体の記憶は、こんな夢を僕に見せてくれる。
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203.月の旅人/月の吟遊詩人(月の宮殿)
¥120,000
しらしらと、月の光が疲れたからだに降り注ぐ。太陽の光は昼の夢、月の光は夜の夢。月明かり下で眺める風景はまるで水の底のようだ。はるか昔の月の宮殿は、今は廃墟となり、その夢の跡でポツリと点るテントの灯りが温かい。素焼きの瓶のワインをあおり、今夜も眠くなるまで月を友に詩を歌いましょう。
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199.月の旅人/春がゆく 想
¥90,000
秋の出会い、冬の秘めた想い 想いを伝えることもできずに、気がつけば春に包まれている。私は春を待つ冬の寒さに耐える固い芽のようだ。散りゆく薄紅の一片を少しでも受け止めれば、私の想いは叶うようにと願い、目を凝らす。そんな事は何もならないと分かっているのに…薄紅の雪を降らせながら、春はその姿を刻々と変えてゆく。春は過ぎようとしている。佇む私の想いだけを残し春がゆく。
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194.月の旅人/眠りうさぎ芭蕉林の夢
¥180,000
SOLD OUT
揺れ動く炎に惑わされ、安らかに眠る幼い私はどんな夢を見ていたのか。夢と現実の区別もつかない頃の夢いつか大人になり同じ夢を見ることがあるのだろうか?頼りない記憶の糸を辿りあの頃の夢と再び回り合うことができるだろうか?不思議な芭蕉林の夢だ。大きな葉が揺れ、さんざめく笑い声、そして月影が踊る。幼子の私は夢の中で遊び、大人となった私は夢の中で凍てつく。それでも夢の芭蕉林は過去と未来の青く涼やかな風を今も私に送り続けている。
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193.月の旅人/森の始まり
¥300,000
冬の寒さが和らぎ、風が優しくなった頃 僕たちは枯れ葉の中に小さな森の命を見つけた。生まれたばかりの命は頼りないけど、生命力に満ち輝いている。今は小さく儚い命も季節と共に緩やかな時の果てに やがては大きく豊かな森へと成長してゆくのだろう。僕達は、この小さな命を見守り育てることによって、豊かさとは、幸せとは、そして守るべきものは何なのか、多くのことを学ぶ。たおやかな大気の中、生命が芽吹く季節 それは森の始まりの季節でもある。
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192.月の旅人/北の風
¥120,000
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186.月の旅人/ミントな夜
¥240,000
ここはあたし達がお気に入りの散歩道。いつものようにお喋りしながら歩いていると、森の側で何か光っている。恐る恐る近づいてみると、枯れた倒木の上に、今まで見たことも無い生き物がいた。8本足で、透き通った体の中が光っている。見られているのに気付いたのかその変な生き物はヨタヨタと不器用に歩き、足を滑らせて草の上に落ちてしまった。よほど痛かったのか、光る体を点滅させてしばらくその場にジッとしていた。やがてモソモソと動き出すと、森の奥へと消えて行った。おもしろいね…
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182.月の旅人/黄昏にキセツノーラ
¥180,000
5月の風の中で 風がオレンジ色に染まるまで 友だちと夢中になった風遊び 僕の耳元で風がうなる そして浮遊感 友だちの声が近くなったり遠くなったり、すれ違い追いついては追い越され、ちょっと笑っての繰り返し ブランコを漕ぐと思い出す その時の風心地 あの頃の僕たちは間違いなくエピキュリアン(精神快楽主義者)だった。
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179.月の旅人/月待ちの酒宴
¥240,000
月の輝く夜、気の合う友と酌み交わす酒のうまさ互いの心を開きゆっくりと語り合う。辺りは月明かりに満ち、その青白い光の中で私の心は和んでゆく。飲むほどに、酔うほどに、月は昇り、草は揺れる。火照った頬に季節変りの夜風が心地良い。いつかどこかで見た夢の風景だ。そんなことを繰り返し感じながら友と過ごすこの時こそ、夢なのかもしれない。そして、ほろ酔いの月の酒宴の夜は更ける。
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176.月の旅人/春風は再び
¥240,000
季節が柔らかな風に変わり始めると、彼等は嬉しくなってはしゃぎ出す。陽の光が、じゃれ合う僕等と絡まり、跳ね回る。上に下に、重なり合っては転がって、ケラケラと笑いながら時がたつのも忘れて遊び、やがて疲れ寝ころがり、見上げる青空。耳元で風が草を揺らす。そんな僕等の上を雲がゆっくり流れてゆく。こんな季節のたおやかな風は、僕の記憶をやさしく揺すって呼び起こす。
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174.月の旅人/月の晩餐
¥180,000
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169.月の旅人/夏小屋
¥240,000
あ~あ、また逃げられた。これで何回目かな?僕の魚釣りを見物している友人の顔が、魚のいる水面に映ってなかなか集中できない。気になり始めると友人の顔ばかり気になって、魚が見えなくなってしまう。おまけに時々ゆれる水面の顔が変にゆがんで可笑しいたらありゃしない。ふと顔を上げると、一人だった友人がいつの間にか大勢になっている。もう止めようかな、もうすぐお昼だし…夏小屋は陽影と、涼しいよく通る風で僕たちを包んでくれる。お昼ごはんを食べたら、みんなと小屋の向こうの川で水遊びだ。
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168.月の旅人/探険倶楽部
¥180,000
SOLD OUT
新入生はみんな必ず受けなければならない試練!フォークダンス〝月夜のキャンプ〟2年・3年生は参加しようがしまいが勝手なのだが、参加する先輩はほとんどいない。しかし、僕達新入生は避けて通れない。一度踊った者でないと、この羞恥に満ちた試練はわからない。この〝月夜のキャンプ〟というフォークダンスは誰が考えたのかと疑いたくなるくらい恥ずかしいダンスなのだ。でも一人だけこのダンスが好きな例外がいる…我が探検倶楽部の部長だ。このダンスのどこが好きなのか、彼は熱く語り、踊る。合宿の月島へ渡るための筏を繋いである桟橋に行く途中で、運悪く僕は部長に捕まってしまった。これから始まる月島合宿。僕の悪夢の幕は上がった。
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160.月の旅人/月の投影機(moon catcher)
¥120,000
この機械が、いつ頃からこの野原にあったかはよく分かっていない。月の幻燈機と同じくらい古い事だけは分かっている。2種の機械はこの野原に点在して置かれてあり、野の草に埋もれ、それでもなお、今でも動き続けている。幻燈機が、新月の夜しか作動しないのに対し、投影機の方は天候に左右されることもなくその時の月の状態を毎日映し出してくれる。幻燈機にしても、投影機にしても、これらが何のために作られ、ここに置かれたのかは謎のままだ。唯、2種の機械の置かれている夜の野原の風景は、見る人の心をやすらかにしてくれるのは確かである。
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159.月の旅人/微睡みに見る夢
¥180,000
どうしようもなく眠くなる。その誘惑に負けて瞼を閉じる心地良さ。意識の半分は覚醒したまま、後の半分は甘美なレムの世界へと引き込まれてゆく。長さの無い時が支配する。形があって無い者達の棲む世界。その隙間をねらって、夢のかけら達が入り込む。時に、リアルな音や香り、色を撒き散らせ、意識の中を自由に飛び回る。夢のかけらと現実が少しずつ、ずれて重なり合い、そして目が覚める。ずれて重なり合う事ができなかったかけらが、意識の浅瀬で、波の残した泡のようにはじけながら消えてゆく。微睡みの残り香と共に…。
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157.月の旅人/突風の風景(風に3)
¥240,000
気まぐれな夜の大気がふくらんだ。厚い空気の壁が突然ぶつかってくる。突風だ。この風は僕達を小さな混乱に巻き込む。うつぶせになるもの。ひっくり返るもの。風にその身をまかすもの。しがみつくもの。最後におしゃべりな友だちを黙らせると、木々や草をゆさぶりながら吹き抜けてゆく。今夜は何だかワクワクだ。又来い!僕達にとっては風に3だ…。
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154.月の旅人/月の水族館
¥240,000
薄っすらと月明かりの差し込む巨大な水槽の奥からヒレを不器用に動かし、そいつはゆっくりと僕達の前に現れた。“ラテメリアだ”水の屈折率のせいで、大きく見えるんだろうけど、僕達はその大きさにびっくりしてしまった。薄明かりの中で不気味に光り、キロキロ動くそいつの目と視線が合い、どうしていいか分からずおろおろしている僕達をしりめに、ラテメリアは何事もなかったように、再び薄暗い水槽の奥へ幻みたいに消えていった。月の水族館、次は何が出てくるのかな?