個展 画家 堀澤大吉 ~ノスタルジックな世界展2024~【個展終了】
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126.月の旅人/新月祭(祭りへ)
¥180,000
せっかく採ってきたちょうちん草。あかり玉を入れようと中をのぞいてみたら、いやぁ、虫が入ってる。弟に取ってもらおうと思っても、さっきケンカしたばかりだし、頼みにくいし、「虫なんて」って、又からかわれたらしゃくだしな。弟はというと、もう心はお祭りへと飛んでいるみたいで、私のことなんか上の空。「ねえちゃん、はよし~。祭りが始まるやんか。」だって。ま、いいか。宝探しの途中でさりげなく弟のちょうちん草と取り替えちゃおう。いい考え♪さっ、今年もいい宝物が見つかりますように。「よし、行こうかね。」あたしと弟は、青く光る野原へと元気良く走り出した。
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125.月の旅人/新月祭(あかり玉)
¥240,000
弟は今年初めてこのお祭りに参加する。僕は4度目だ。野原の入り口で、変な機械のお店にいるじいちゃんに山で採ってきたちょうちん草にあかり玉を入れてもらうため、僕達は不思議な光に包まれたお店へと近づいた。じいちゃんは弟を見て、にっこり笑うと「おっ、ちびちゃんは今年初めてだの。」そう言って、ビンの中のあかり玉を1個取り出すと、テーブルの端にコンと打ちつけた。ぼうっと光っていたあかり玉は、目を覚ましたように明るく光り出し、じいちゃんは弟の目の前に差し出した。ちょうちん草にあかり玉を入れてもらった弟は、よっぽど嬉しかったんだろう。目を輝かせ、鼻息まで荒くなっている。よーし、今年は弟と一緒に宝物をたくさん探すぞ。新月祭の始まりだ。
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115.月の旅人/月の作り方
¥300,000
世界中の夜空で、太古の昔より月は時をかけ穏やかな点滅を繰り返してきた。その季節の一日、一日を慈しむかのように…。月の無い夜僕は静かに目を閉じ、澄んだ夜気を吸い、心の中の、月のボールのバルブを開く。地上に溜まった月の光が、ボールの中に満ち始めるとほら、暗い夜空に貼り付けたような月が出てくる。誰にだってできる月の作り方。心を解き放ち、優しい気持ちになってごらん。
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107.月の旅人/月が僕につきまとう何か良い薬はないものか
¥120,000
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105.月の旅人/はげ山の一夜
¥360,000
SOLD OUT
子供達は、昨日からこの山のてっぺんで過ごしている。学校の課外授業、自然教室だ。夕食を済ませ、先生の話が終わると、それぞれのグループに分かれて、消灯までの時間を過ごす。子供達は声をひそめ、時々クスクス笑いながら、ヒソヒソ話を楽しんでいる。やがて夜も更け、いつの間にか話し声も止み、静けさの中に小さな寝息が聞こえ始めた。焚き火が小さな音をたててくずれ、わずかに火の粉が夜空へと昇って消えた。そして、子供達の眠るテントの上の空は、満点の星だ。
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101.月の旅人/月の修理屋
¥240,000
月の修理屋は大変そうだ。今日も使用済みの月を点検修理する。サーカセプタンの力によって、再び月がその姿を現し始めた。第2四半期に入る前に、満月の修理を終わらせなくてはならない。オセンコップ発生装置やら、ヒューズ、プラグ、微力青色電球、部品の交換だけでもずいぶん時間がかかるのだろう。月の修理屋は大忙し、今日もせっせと月の中を覗き込む。
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095.月の旅人/転校生(約束は午後10時32分)
¥180,000
僕はどうやら、ずっと気を失っていたらしい。気が付くとでっかい月と、ニヤニヤ笑いながらのぞきこんでいる弟の顔が見えた。僕は弟のクラスに転校して来たというその友達に興味が湧き、そいつと遊ぶ約束をしている弟にノコノコ付いて来たのだ。僕が今まで見たこともない姿をしたそいつは、弟と挨拶を交わすと、僕にも気が付き、おもむろに近づいて来たかと思うと、沢山の触手を僕の顔に絡ませ、いきなりキスをしたのだ。そして、僕にこういった。「ハジメマシテ、オニイザマ」からだじゅうの毛が逆立ち、僕は気を失った。それでも、薄れゆく意識の中で僕は思っていた。「オニイザマじゃなくて、おにいさまだろうが…」
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092.月の旅人/切り取られた春の午後
¥240,000
春の訪れと共に、桜は、僕をじらすように散り始め、切なき春の風はその花びらを舞い上がらせ、あたかも冬の残像のような花びらの雪が降る。昨日の雨は、地面のあちらこちらに青い空を宿し、春の息吹の中で、僕は、次の季節の前にただ、佇んでいる。春は、過ぎ去った冬の後ろ姿を追うように、僕のそばを通り過ぎようとしている。
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090.月の旅人/中生代谷のボーレイ
¥240,000
中生代の断層がむきだしになっている谷で、僕達の目の前に突然そいつは現れた。僕達はあわてて、そいつにみつからないように、今、良く考えてみると隠れる所は何も無い場所なのに、地面にべったり張りついて、近づく不思議な姿のそいつをこわごわと観察した。そいつは、コックリ、コックリとからだを前と後ろに揺らしながら僕達の方へ近づいて来た。そして、僕達にまったく気付く様子も無く弟の耳の間をすり抜け、月明かりに照らし出された谷の向こうへと消えて行った。弟はコーフンして、目がキラキラ輝いている。僕はというと、しばらくは足がガクガクで立ち上がることができなかった。あれは、もしかして、古代のボーレイだったかな?
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089.月の旅人/虹の谷の冒険
¥180,000
SOLD OUT
月のきれいな夜のことだ。僕は虹の谷で、花崗岩ペグマタイトを何時間も探していた。ここにはペグマタイトはないんだろうとあきらめかけたその時、僕の視界の片隅に奇妙な光が見えた。気が付くと、そこは皆の噂する”鬼の宴会所”のすぐそばだった。体中の毛が逆立ち、息が荒くなっていく。耳だけ動かして、高さ3メートルぐらいの崖の上の様子をうかがってみる。でも、小鬼の話し声どころか、谷を渡る風の音しか聞こえない。僕は勇気をふりしぼって、険しい崖を登ってみることにした。そして、おそるおそる顔を出して崖の上に見た物は、なんと、のぼるつきあかりに照らし出され、美しくも妖しく輝く水晶群だった…。その後、僕を新たなキョーフが襲った。僕は、登るより下る方が苦手なのだ…。
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088.月の旅人/よく見る夢の話
¥180,000
僕はよくこんな夢を見る。柔らかく香りの良い草原を、僕は飛ぶように走っている。どんなに走っても、見渡す風景は変わらない。「何でよ?」そう思った時、月が何の前触れもなく、月はそのまま僕の中にぐいぐい入ってくると、光となってはじけ、いいようのない幸福感に包まれ、そこで、いつも目が覚める。そして空を見上げれば、月が青い光をゆらしながら、静かに微笑んでいる。これは、月が僕に見せてる夢なのか…?僕は、よくこんな夢を見る。