個展 画家 堀澤大吉 ~ノスタルジックな世界展2024~【個展終了】
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285.月の旅人/鏡池の月
¥240,000
新月の夜の鏡池は、たたえた水が変化する。池の水は月光を蓄え、美しい結晶をつくりだす。風が細波をたてるたびに、水はゆっくり硬化を始め、やがて池は鏡となり、夜空の星や雲を映し、月光の結晶が水面に浮かび上がる。僕たちは、水面を歩き回り夢中になって結晶を掘り出すのだ。月の光の結晶は、月の記憶を宿した幸運のしるしだ。
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284.月の旅人/月の楽しき夢
¥240,000
さざめきが、わずかな風に乗って聞こえてきた。周りを見渡すと、少し離れたノジュールの原で幼児たちが楽しそうに列をつくり、揺れている。近づいてみると、先生を先頭に、お遊戯会のための行進の練習だ。おぼつかない足取りで、顔を輝かせニコニコ顔で右に左に揺れながら歩いている。そんな姿を見ていると、思わず笑みが溢れてしまう。見上げると、月も月光を揺らして笑っていた。風光る頃の話しだ…
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281.月の旅人/月光水族館
¥240,000
広大な草原の真ん中に、満月の一晩だけ突如現れる不思議な水族館。“月光水族館” 水族館といっても建物ではなく、水をたたえた巨大な円柱形の水槽なのだ。特に不思議なのは、その中で泳ぎ回る生き物だ。今はもう絶滅したはずの生き物が、月光の下で自由に泳いでいる。種族の記憶だ。そして僕たちはランプを灯し、丸く巨大な水槽に沿って歩き、目を輝かせ、水の中を覗き込む。これも僕たちの世界の月光文化の一つだ。
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278.月の旅人/電気鳥がやって来た
¥240,000
リリリ…リ・ 薄いガラスが細かく振動するような音がする。外に出ると、空に電気鳥の群れが飛び回っている。昨夜通り過ぎた大風に乗ってやって来たのだ。電気鳥は捕まえることができれば、明かりの代わりになる。僕は捕虫網を振り回して追いかけ回る。できるだけ明るい元気なやつを捕まえるのだ。電気鳥は羽ばたきながら点滅し、右へ左へ逃げ回る。彼らは大風の巨大な雲の中で生まれ、捕まると羽根を落として物質化する。電気鳥は生き物ではなく、自然現象の一部だそうだ。この世界の自然は、おかしな物を創り出す。
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276.月の旅人/バンゴアの月
¥240,000
地平線に、月が滲むように消えた方角の彼方に、バンゴアと呼ばれる場所が在るという。バンゴアは、広大な砂漠の中にあり、月はその寂寥とした砂漠の中の、巨大な芭蕉林に潜んでいる。バンゴアとは、月の始まる場所、草のくぼみの中の月、月のカリアという意味だ。バンゴアを見つけようと、何人もの人が旅立って行ったが、誰一人帰って来た者はいない。古い言い伝えや文献によると、バンゴアは実在するが、探そうとすると、どうしても辿り着けない陽炎のような場所とある。僕たちはバンゴアに憧れ、そして夢見る。そして、バンゴアへの想いを胸に、僕たちは今夜も月を見上げている。
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274.月の旅人/月運び
¥180,000
新月から満月へ、そして再び新月へ その間に、上弦と下弦の半月が2回。月は、出現と消滅を29.5日かけて繰り返す。第1四半期、第2四半期、第3四半期、第4四半期と、4つの半期によって区別する。その変化する月を、在るべき場所へと移動させている何者かが存在していると考える。そう、夜空には月を運びし者が棲む。僕は天空に浮かぶ月を見上げるたびにいつもこんなことを考える。
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273.月の旅人/かすみ草とソーダ水
¥180,000
私はかすみ草という花が好きだ。遠目には、フンワリした草にしか見えないが近づいて見ると、とても小さな花を咲かせている。風が吹くと揺れて花と花が絡み合い、風が止むと、もとに戻ろうと、あちらこちらで花がピンピンと跳ねる。その様子が、まるでソーダ水の泡が弾けているように見えるのだ。淡いオキサイト・グリーンの細い茎と葉。それにちょこんと付いた白く小さな花が一瞬のこんな風景を目眩のように見せてくれるから…。
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270.月の旅人/モナズ草原の午後
¥180,000
モナズの草原地帯に入った時、3人で話し合い、草原の真ん中あたりにある、大きな赤岩のところで、それぞれ別々のルートで、夕暮れまでに落ち合う事になった。2人の草旅仲間と別れ、そして今、僕はここにいる。彼方に目印の赤岩が見える穏やかな丘の上だ。心地良い風が吹くので、草の上に寝そべって空を流れる雲と風を見ている。風が耳元でサラサラと草を揺らし吹き抜けてゆく。雲がゆっくり形を変えながら動いている。モナズ草原は、いいな…まだ太陽は高いし…少し…ほんの少しだけ…昼寝をしよう…
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268.月の旅人/草旅3泊4日
¥180,000
僕たちの草旅が始まった。今住んでいる所から、歩いて約1日のモナズ草原が目的地だ。道中には、一定の間隔で道しるべの赤いポンプの水場がある。3つ目の水場から右へ行くはずだったのに、先頭の僕がどうやら見落としたらしい。後に続く二人は気が付いていたみたいなのに…先を歩く浮かれ気味の僕の反応をみたかったみたい。しばらくして、道を間違えた事に気づき、もう恥ずかしいやら悔しいやら…早く教えてくれよ!僕たちは再び、ふざけ合いながら水場へと引き返した。これもまた、旅の楽しい出来事ではあるけどね…
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264.月の旅人/月夜の曲芸師
¥180,000
無理だと思いながら、とりあえず月の玉に乗ってみる。最初はなかなか上手く乗ることができない。何度もひっくり返り、這い上がりを繰り返す。しばらくすると、玉の上に立つことが出来た。問題はここからだ。バランスがむつかしい。何度もひっくり返り、這い上がりを繰り返す。それでも諦めずに練習していると、玉を少しづづ転がせるようになって来た。するとどうだろう、夜空の月も、僕の操る玉に合わせ天空を転がり始めた。
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263.月の旅人/月の宿り木
¥180,000
旅の途中、見知らぬ土地で眠る時、今宵の宿となる柔らかな草の褥でふと過ぎる、ノスタルジアに胸締めつけられる。そんな夜に、私は月を呼び寄せる。ツヅラフジと、赤い実を付けたヤブコウジ。二つの夢を絡ませて、頭上にかざせば月はやって来る。幻のように月は現れ、やがて消えてゆくが、月は、折れそうな私の心を満たしてくれる。宿り木のまじないは、月と私を繋ぐ私の旅の夜のお守りだ。
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260.月の旅人/峻嶺
¥180,000
雲をまとった険しい峰々を下から仰ぎ見ていると、何故か崇高な山に見えてくる。人を寄せ付けないような、急で崩れそうな斜面を一歩一歩踏みしめ、雲を突き抜け頂に立つ。切り立った山頂から、目の前に広がる雲海を見下ろせば、世界は一変する。きっと神様は存在しているに違いない。神様は分霊となって僕たちの中に居て、共に生きている。この場所にいると、そんな気持ちが芽生えてくる。人を憎まず、人を妬まず、人を羨まず、慈しむ。ふるべ ゆらゆらと ふるべ…
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259.月の旅人/オーニソプター的戯れ
¥120,000